株式トレードのためのRSIインディケーター:基礎と応用

Stanislav Bernukhov

Exness シニアトレーディングスペシャリスト

トレーディングを始める

これは投資アドバイスではございません。過去の実績は将来の結果を保証するものではございません。取引に際しては、ご自身の責任で行ってください。

シェア

この記事では、株式トレードにおけるRSIインディケーターの使い方についてご説明します。相対力指数(RSI)は、株式やその他の金融商品の買われ過ぎと売られ過ぎを特定するために、トレーダーや投資家がよく利用するモメンタムを測定するオシレーター系インディケーターです。0~100の数値で、値動きの速度と変化を測定します。

オシレーター系インディケーターは通常、トレンド相場では機能しづらく、横ばい相場で優れたパフォーマンスを発揮します。株式は長期でトレンドを維持することが多いため、RSIを利用するのは難しい場合があります。従って、RSIをやみくもに使用したり、株式に他のテクニカル指標を使用せずに株式トレードを行うと、利益を得るどころか損失を被る可能性があります。

この記事は投資やトレーディングに関するアドバイスを提供するものではありません。RSIツールへの理解を深めるために役立つ教材を提供します。

RSIインディケーターとは

相対力指数(RSI)は、株式トレードのテクニカル分析に広く利用されているモメンタムオシレーターです。1978年6月にWelles Wilderによって考案され、その計算方法を著書『New Concepts in Technical Trading Systems』で詳しく説明しています。オシレーターは、金融商品の値動きの速度と変化を測定するテクニカル分析ツールで、一定期間における証券の平均損益を比較し、資産の強弱を判断するのに役立ちます。

RSIの計算式:

RSI = 100 − (100 ÷ (1=RS))

相対力(RS)は、X日間の上昇終値の平均値を同じX日間の下落終値の平均値で割ることで得られます。Welles Wilderは14日RSIの利用を普及させ、広く採用されています。ただし、計算日数を柔軟に選択できます。

RSIインディケーターの基礎

RSIとは、0~100の数値で示すオシレーター系のインディケーターです。一般に、RSIが70以上の場合は、株式が買われ過ぎていることを示し、反落に見舞われる可能性があります。一方、価格チャートでRSIが30以下の場合は、株式が売られ過ぎていることを示し、反発する可能性があります。

RSIインディケーターが売られ過ぎの水準から下降トレンドに反転。出典:Tradingview.com

RSIが70または20の水準を超えた瞬間は、取引シグナルと考えられるかもしれません。しかし、このようなシグナルだけに頼ってトレードを行うのはやめましょう。

ダイバージェンスを利用すると、明確に状況を把握し、信頼性の高いシグナルを得るのに役立つかもしれません。ダイバージェンスはシグナルであり、RSIのシグナルよりも信頼度が高いです(例えば、売られ過ぎの価格帯の閾値を超えた場合)。従って、ダイバージェンスはより信頼性が高く、当たる確率が高いですが、めったに発生しません。

相対力指数のダイバージェンス(RSI)

株式トレードに相対力指数(RSI)インディケーターを利用し、RSIでダイバージェンスが発生していることに気づいた場合、弱気のダイバージェンスまたは強気のダイバージェンスが発生すると、トレードで成果を出せる可能性が高いかもしれません。注視している銘柄が高値を更新しているにもかかわらず、RSIは安値が切り上がっている場合、上昇トレンドが弱まっていることを示唆している可能性があります。一方、株価が安値を更新しているにもかかわらず、RSIは高値が切り下がっている場合は、下降トレンドが弱まっていることを示唆している可能性があります。

AAPL株価とRSIインディケーターのダイバージェンス。出典:Tradingview.com

古典的なRSIインディケーターのシグナルの利用

TradingViewコミュニティが公開したAAPL(Apple)株に利用されたRSIインディケーターに基づく取引システムのバックテストです。この特定のケースは、反対方向にシグナルが生成されるまでポジションを未決済にしておく戦略です。

この単純な形式(RSIが買われ過ぎの価格帯から抜け出したら買い、売られ過ぎの価格帯から離れたら売り)にRSIを適用すると、すべての時間軸で似たような結果(ほぼ一貫して損失)が得られます。

RSIインディケーターに基づく自動トレードシステムのバックテスト。出典:Tradingview.com

これは非常に単純な事実によって起こります。通貨ペアはレンジ相場が発生しやすい傾向があるのに対し、大半の株式は長期にわたり強気局面に留まる傾向があります。

強い強気トレンドでは、すべてのオシレーターが「買われ過ぎ」の状態を示し、ショートポジションを建てることが想定されます。反対に、ロングポジションは市場がすぐに「買われ過ぎ」の状態になり、トレーダーはポジションを決済する必要があるため、比較的早く決済されます。

株式のRSIのダイバージェンスの利用

強気ダイバージェンスまたは弱気ダイバージェンスを使用すると、より良い結果が得られます。RSIインディケーターの値が長期間にわたって買われ過ぎの価格帯にある場合は、長期的なシグナルを優先しながら、短期的なシグナルを避けるか、さらなる確認をする必要があります。

長期的なシグナルの優位性は、トレンド方向に沿ってポジションを保持するのに役立ちます。以下の例では、売られ過ぎや買われ過ぎの価格帯以外でも、エントリーポイントが生成されていることが分かります。これは従来のルールに沿っていないように見えるかもしれませんが、大半の株の場合、買われ過ぎ/売られ過ぎが生じることは稀です。その結果、トレードするポジションの数が非常に少なくなる可能性があります。そのため、それらの価格帯以外でもシグナルを受信することがあるかもしれません。

RSIインディケーターに基づく取引システムのバックテスト。出典:Tradingview.com

株式のRSIシグナルの確認

RSIインディケーターは、エントリーの厳密なルールとしてではなく、頻繁に利用されるため、トレードが可能な状態かどうかを判断する指針として利用できます。トレードを開始する際にエントリーポイントの特定に使用できます。

例えば、「エンガルフィングパターン」などのローソク足パターンは、モメンタムの加速を示す可能性があります。

トレードを開始するタイミングを確認するために、1時間足のローソク足チャートで単純なエンガルフィングパターンを利用する方法は、以下のとおりです。

RSIがシグナルを発したら直ちにトレードを開始するのではなく、より信頼できるパターンが現れるのを待ってから、どうするか決断することをおすすめします。

RSIとローソク足を組み合わせたエンガルフィングパターンの取引シグナル。出典:Tradingview.com

短期トレードスタイルに最適なRSIの設定

統計によると、短期の取引スタイルは通常、RSIを20~50に設定すると最も効果的です。RSIインディケーターが敏感になりすぎて、相場の買われ過ぎまたは売られ過ぎのシグナルを誤って出す可能性があるため、10未満のパラメーターの使用は避けてください。ただし、これらの設定が有効であることを確認するために、特定の取引金融商品で常にこれらの設定をテストしてください。

長期取引スタイルに最適なRSIの設定

長期トレーダーとして、RSIのパラメーターを50に設定すると、過剰なトレードを避けられます。また、この設定を日足チャートなどの長い時間軸に適用することも効果的です。バックテストを通じて正しいパラメーターを忘れずに設定してください。過学習を避けるため、プロトレーダーがインディケーターのパラメーターを変更することは稀です。

株式トレードにRSIインディケーターを利用するメリットとデメリット

このセクションでは、株式トレードに相対力指数(RSI)を利用する場合のメリットとデメリットについて詳しくご説明します。メリットは、このテクニカル分析ツールは比較的使い方が簡単でありながら、適切なエントリーポイントを特定し、高い勝率を生み出すのに役立つ点です。ただし、完璧ではありません。誤ったシグナルを出すことが多く、価格と取引量以外の洞察を得られない可能性があり、時間軸によって効果が異なる可能性があります。

株式トレードにおけるRSIインディケーターのメリット

  1. 株式は長期的な強気トレンドを形成することがよくあります。RSIインディケーターは、そのようなトレンドに沿ったエントリーポイントを見つけるのに役立ちます。
  2. RSIインディケーターの使い方は比較的簡単です。基本的なRSIの取引戦略には、高度な専門知識は必要ありません。
  3. RSIのシグナルにトレーダーは素早く反応する必要がなく、通常はトレードの準備と実行に十分な時間をかけられます。
  4. RSIは、トレンドシグナルよりも頻繁に発生する平均回帰取引シグナルに焦点を当てています。つまり、RSIを正しく適用すれば、的中率が高まる可能性があります。
  5. 多くのRSI戦略はすでにバックテストされており、その結果は公開されています。株式への適用の結果もあります。従って、RSIを利用する際に「時間を浪費」したり、試行錯誤する面倒な過程を経たりする必要はありません。

株式トレードにおけるRSIインディケーターのデメリット

  1. RSIは、長期トレンドの場合はうまく機能せず、株式市場は長期的な強気トレンドで知られています。例えば、順調に上昇している銘柄にRSIを適用すると、偽の逆トレンドシグナルが大量に生成される可能性があります。
  2. RSIは単なるインディケーターであり、価格の派生物です。初心者トレーダーであれば、データの整理に役立つかもしれませんが、価格と取引量の組み合わせ以外に、トレード判断の指針となるような新しい情報は得られません。
  3. RSIは平均回帰のシグナルと連動するため、値動きの天井や底を捉えるトレードに役立ちます。平均回帰戦略は完璧ではなく、特にギャップがある場合は株価がすぐに崩れたり、一方向に動き続けたりすると損失が発生する可能性があります。
  4. RSIは値動きにあまり敏感ではありません。シグナルの生成が早すぎる可能性があります。
  5. RSI戦略は、時間軸によってパフォーマンスが異なる可能性があるため、利用する前に綿密にリサーチする必要があります。

よくあるご質問

このテクニカル分析ツールを株式に利用するのに最適な戦略は、恐らくダイバージェンスです。このRSI取引戦略により、精度とタイミングが向上し、値動きの変化をかなり早い段階で見つけられるようになります。

RSIは通常、平均回帰トレードに焦点を当てているため、市場で間違った側に立つことを避け、強い価格トレンドを除外することは理にかなっています。従って、RSIは、移動平均線または移動平均収束発散法と組み合わせる先行指標として、トレンドの識別に役立ちます。

このインディケーターの精度は、さまざまな要因によって異なります。通常、平均回帰トレードには相対力指数を使用し、60%を超えた場合に行います。ただし、テクニカルインディケーターは単なるツールであることを忘れないでください。最終的なパフォーマンスは、適切なストップの設定、リスク、資金運用、ターゲットの設定などの要因に左右されます。

一般に、RSIは、1時間足チャート、30分足チャート、4時間足チャートなどの短期から中期の時間軸で動作するように設計されています。このインディケーターの利用に制限はありませんが、トレーダーは、時間軸が長くなるほど市場の潜在的な「トレンド」が強くなることを覚えておく必要があります。RSIインディケーターは、短期的な買われ過ぎや売られ過ぎの市況を識別するのに適し、レンジ相場で威力を発揮します。

日足などの長い時間軸では、値動きが緩やかで勢いがあるため、より長い時間軸ではモメンタムインディケーターを利用することが望ましいです。

一方、1分足チャートや5分足チャートのような極端に短い時間軸で構築されたRSIの取引戦略も、RSIシグナルで利益を得られる可能性がかなり低いため、効果は疑わしいです。トレーダーが得られる利益はわずかなのに、多額の取引コストが生じるかもしれません。そのため、RSIに最適なのは15分足から4時間足までの中期の時間軸です。

いわゆる「2期間RSI戦略」は、Larry Connorsによって株式トレード用に開発されました。RSIのパラメーターを2に設定した平均回帰取引戦略の一つです。10を下回る価格帯は売られ過ぎの状態とみなされ、通常、トレーダーはこのような状況で買い場を探せます。反対に、90を超えるとトレーダーは売りシグナルを探すことになるかもしれません。

他の平均回帰戦略と同様に、この戦略は天井と底を選択するのではなく、むしろ反落後に主流トレンドへと移行するように設計されています。トレンドの方向を追うには、移動平均線などのモメンタムインディケーターを利用した方が良いです。

RSIインディケーターを利用して株式トレードをご希望ですか?

相対力指数(RSI)を含め、どのインディケーターでも、トレード判断を下すための唯一の情報源にすべきではないことを覚えておいてください。

市況のほか、資産価格が不可欠な支持線と抵抗線からどの程度離れているかなどの要因も考慮する必要があります。

株式の場合、決算発表期が終了したらポジションを保有しないことが重要です。決算が予想外の決果になると、株価は大きく変動する可能性があります。株式CFDのトレード方法に関する詳細は、こちらをご覧ください。

インディケーターはリターンを予測する「聖杯」ではなく、指針として捉えてください。いかなるインディケーターの過去の実績も、将来の成功を保証するものではありません。

株式トレードを開始してRSIを試す準備は整いましたか?今日、Exnessで口座を開設しましょう。

シェア


トレーディングを始める

これは投資アドバイスではございません。過去の実績は将来の結果を保証するものではございません。取引に際しては、ご自身の責任で行ってください。